● ANTONIO LOUREIRO / SO
濱瀬さんの件の記事でも取り上げられていたミナスのSSW/マルチ・インスト奏者、アントニオ・ロウレイロの新作。高橋健太郎さんが彼の1stをMM誌の年間ベストに挙げたときは、タワレコとかでも随分と売れたようです。イエス、ジェネシスからブラッド・メルドーをはじめとする様々な音楽からの影響と、ブラジルの伝統的なスタイルの歌唱方法が共鳴しているというアントニオ・ロウレイロの音楽。なんとまだ26歳。曲も歌も良くてどの楽器も半端なく上手いって、恐るべき化け物ですよ。
featurring:
Tatiana Parra (voz), Pedro Durães (programações eletrônicas), Frederico Heliodoro (baixo elétrico), Rafael Martini (acordeon e vozes), Trigo Santana (contrabaixo), Alexandre Andrés (flautas), Daniel Santiago (violão), Sérgio Krakowski (pandeiro) e dos argentinos Santiago Segret (bandoneon), Andrés Beeuwsaert (piano).
● ANTONIO LOUREIRO / ANTONIO LOUREIRO
INDEPENDENTE / BRA / CD / 2,100円(税込)
作編曲にはじまりピアノ、ギター、ヴィブラフォン、マリンバ、ドラム、パーカッション、ヴォーカル、自然音を一人で演奏した1stはこちら。加えてリーダー作などはリリースしていないものの素晴らしい演奏技術を披露してくれるミナスの若手ミュージシャン達もサポート。曲によってクリストフ・シルヴァ、ファビアーナ・コッツアやアンドレ・メマーリらがゲスト参加しています。
● SERGIO SANTOS / SERGIO SANTOS
BISCOITO FINO / BRA / CD / 2,000円(税込)
2011年ジョイス来日公演のゲストとして初来日を果たしたミナスのSSW、セルジオ・サントスの2004年作。最新作”LITORAL E INTERIOR"では、より室内楽的な色合いを強めているが、本作ではセルジオのメロディ・メーカーとしての才能をシンプルに活かしたサンバ~バランソ的アレンジが秀逸。アンドレー・メーマリ(p)、ホドルフォ・ストロエテール(b)、テコ・カルドーソ(fl/SAX)、トゥッチ・モレーノ(ds)といった御馴染みの面子による演奏も秀逸。優雅なホーン・アレンジで綴られるスピード感溢れるバランサ#2など、セルジオ作品の中でもとりわけ明るい歌い口が人気の一枚。
● SERGIO SANTOS / LITORAL E INTERIOR
BISCOITO FINO / BRA / CD / 2,500円(税込)
2011年ジョイス来日公演のゲストとして初来日を果たしたミナスのシンガー・ソング・ライター、セルジオ・サントスの通算6作目です。数曲で彼の長年の共作者であるパウロ・セザール・ピニェイロが詞を提供した他は、すべてセルジオ自身の手によるもの。これまでのセルジオ作品にも参加していたアンドレー・メーマリが#13を除きアレンジ兼ピアニストとして全編参加しているのがポイント(アンドレーの代表作の一つといってもいいでしょう)で、曲によりオーケストラを配すなど、セルジオの世界観を、より幅広い音楽性で表現しています。ジャケットのポートレイトに映るようなミナスの自然豊かな大地を賞賛するかのごとく、雄大な世界を繊細に紡いでいくセルジオ。その透き通った美しさに、聴くものは抱きしめられ、身も心も清められるでしょう。ジョビンの名作「Urubu」に並ぶ名作です。
● ALEXANDRE ANDRES / AGUALUZ
NATURA / BRA / CD / 2,200円(税込)
アンドレー・メーマリやモニカ・サルマーゾ、ウアクチも参加したミナスの新進気鋭シンガー・ソング・ライターのデビュー作。ヴォーカルはけっして上手いとは言えませんが、繊細かつ複雑なハーモニーと、様々な楽器を駆使した独特の手触りは聴き応えがありますね。
ミルトン・ナシメントの代表作として知られる1972年の名作「CLUBE DA ESQUINA=街角クラブ」。ミナスの音楽コミュニティの仲間達と作成されたこのアルバムは、ミルトンほか、ボルジェス一家、ホベルチーニョ・シウヴァ、ヴァギネル・チゾ、タヴィーニョ・モウラら、後にソロ・アルバムをリリースする素晴らしい才能が集結し、互いのアイディアを持ち寄って作成された当時のミナス音楽シーンの充実と先見性、特異性を凝縮させたようなアルバムである。例えばA&M(US)からリリースされたMILTON NASCIMENTO「MILTON」収録Ver.の"CRAVO E CANELA"と、この街角クラブの同曲を聴き比べてほしい。前者がグルーヴ感に溢れたシンプルなカタルシスを呼び起こすのに対し、後者は何度聴いても若干の違和感を残しつつ、しかし奇跡的な美しさを保って調和している。今となってはサンプリング・ネタとしてブラジル音楽ファン以外からも広く知られる「TODO QUE VOCE PODIA SER」の位相、そして楽曲構造の歪さ。ARTHUR VEROCAIの1STアルバムがサイケ文脈で最高峰の評価を得るのであれば、街角クラブも同じ程度、いやそれ以上の評価を与えてもいいと思う。
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● BETO GUEDES, DANILO CAYMMI, NOVELLI, TONINHO HORTA / SAME TITLE
THINK! / JPN / CD / THCD158 / 2,520円(税込)