
● FREDERICO HELIODORO / DOIS MUNDOS
ミナス的な繊細さを継承しつつ、若き才能あふれるミナスにおいても独自の路線をゆくフレデリコ・エリオドーロのフル・アルバム。
フレデリコ・エリオドーロは、ベース奏者としてミナスを中心に活動する現在26歳という若き才能。ミナス音楽界の中堅ともいえる存在のアフォンシーニョを実の父に持つ。アントニオ・ロウレイロ(の作品にもフレデリコは参加している)周辺のブラジリアン・ジャズから、US/UKのポスト・ロック的な演奏まで幅広くこなし、ここ数年盛り上がりを見せるミナス新世代の中心人物でありながら、とりわけすフレッシュな感性の持ち主でもある。
そんな多才な才能をミナス産ジャズとして開花させたアルバムが、本作『ドイス・ムンドス』である。ギター、コントラバス、ドラム、ピアノという最小限のカルテットにて綴られる濃密なインストゥルメンタルは、例えるならカート・ローゼンウィンケルのようなNYジャズ・シーンともシンクロするもの。しかしその真骨頂は冒頭曲"Burian"で聴けるような、ミナスやサンパウロ、アルゼンチン一派の特徴ともいえる繊細なメロディやハーモニーにある。ミナス的伝統を継承しつつ、一方でミナスの州都ベロオリゾンチのような都市的な感性が強く息づいた独特の世界観は、これまでに紹介してきたアントニオ・ロウレイロ、ハファエル・マルチニ、アレシャンドリ・アンドレスetc といった面々ともまた違い、強烈な個性を発揮していると言えるだろう。
アミルトン・ヂ・オランダ・キンテートにも所属するダニエル・サンチアゴとの共同プロデュース。ライナーにはアンソニー・ウィルソン、レオ・ガンデルマンからの推薦文、そしてプロフィールにはギターを学んだアーティストとしてマイク・モレーノの名前もあり、フレデリコの立ち位置がおのずと見えてくる。本作が必聴というのはもちろん、若き才能あふれるミナスにおいても独自の路線をゆくフレデリコからは今後も目が離せない。
Federico Heliodoro - acoustic bass
Pedro Martins - guitar
Felipe Viegas - piano
Felipe Continentino - drums
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