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8/30(fri) ウアクチを極める @国立Notrunks

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『ウアクチを極める』


[ゲスト講師] 渡辺亮
[講師] ケペル木村
[聞き手] 柳樂光隆, 江利川侑介

8/30(FRI) 18:30 OPEN 19:00 START
@ 国立NoTrunks
186-0004 東京都国立市中1-10-5・5F MAP
TEL&FAX: 042-576-6268
 
日本におけるブラジル音楽評論家の第一人者ケペル木村と、若手音楽評論家の柳樂光隆、中南米音楽バイヤーの江利川侑介の三者による「極める」シリーズ! 今回はブラジルの創作楽器集団「ウアクチ」を取り上げます。ゲストには日本を代表するパーカッショニストであり、個性あふれるブラジルのパーカッションに造詣の深い渡辺亮さんを迎え、ウアクチ音楽を多角的に捉えます。もちろん亮さんによるパーカッション実演もあり。お楽しみに!チャージ500円+オーダーをお願いします。

 









ウアクチ Uakti オフィシャル・サイト

ブラジルのミナス・ジェライス州を拠点とする創作楽器によるインストゥルメンタル・グループ。

メンバーは
Marco Antônio Guimarães マルコ・アントニオ・ギマラエス
Artur Andrés Ribeiro アルトゥール・アンドレス・ヒベイロ
Paulo Sérgio Santos パウロ・セルジオ・サントス
Décio Ramos デシオ・ハモス

この不思議な名前は、トゥカーノ族(ブラジル北東部からコロンビアにかけての地域を生活拠点とするインディオの部族)の神話に現れる伝説的な存在「ウアクチ」に由来している。

ウアクチは不思議な生き物で、体中に穴が開いており、風がその穴を通るたびになんとも魅惑的な音を発していた。その"音楽"が部族の女性をあまりに魅了したため、嫉妬した男たちはウアクチを捕らえ、殺してしまった。ウアクチの遺体が埋められた場所からは椰子の木が生え、人々はウアクチが奏でていたような魅惑的な音楽を奏でるため、その椰子の木を使ってフルートを作るようになった。これがウアクチの伝説である。

グループのリーダーであり創始者はマルコ・アントニオ・ギマラエスである。彼はバイーアのUniversidade Federal da Bahia(バイーア連邦大学)でWalter Smetak(ヴァルテル・スメタキ)に出会い、彼のクラスを受講する。ヴァルテルはエルメート・パスコアールやエギベルト・ジスモンチと同じく、高い知性でブラジル音楽を発展させた現代音楽の鬼才で、スイス人でありながらブラジルに移住し、トン・ゼー、カエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジル、トルクアート・ネトといったトロピカリア・ムーヴメントの中心人物たちにも影響を与えた知る人ぞ知る存在である。


Documentário sobre Anton Walter Smetak.
アントン・ヴァルテル・スメタキについてのドキュメンタリー。なぜかpart 2しかありません。

そんなヴァルテルから、マルコ・アントニオ・ギマラエスは創作楽器の魅力と情熱を受け継いだという。数年の訓練の後、マルコはサンパウロとミナスの交響楽団の一員としてチェロを演奏すると同時に、自宅にてポリ塩化ビニルや木材、鉄を加工した楽器の製作を始める。

1978年には、それらの楽器を演奏するためにベロ・オリゾンチ交響楽団の同僚達に声をかけ、ベロ・オリゾンチの芸術教育基金へと赴いた。その際に集まったメンバー達がパーカッショニストのPaulo Sérgio Santos、Décio de Souza Ramos、フルートのArtur Andrés Ribeiro、そしてチェリストのCláudio Luz do Valである。彼らはマルコの制作した楽器の演奏方法を完璧に習得し、ウアクチはグループとしてスタートした。
彼らの最初のレコーディングはタヴィーニョ・モウラが音楽を担当した『Cabaret Mineiro(ミナスのキャバレー)』というギマラエス・ホーザの小説をベースにした映画のサウンドトラックである。タヴィーニョを通じて、ウアクチはクルビ・ダ・エスキーナの面々に出会うこととなる。


Cabaret Mineiro - Filme completo
 
1980年にはミルトン・ナシメントのアルバム『Sentinela』に参加。パンプーリャ劇場にて初ステージを披露、世間的な知名度を獲得した結果、翌年初のソロ・アルバム『Uakti - Oficina Instrumental』をリリースするに至る。
 
Cláudio Luzが脱退した後、1984年に3rdアルバム『Tudo e Todas as Coisas』をリリースするまでギタリストのBento Menezesが加わる。このアルバムから伝統的な楽器も時折使用するようになる。
 
1981年から1987年の期間で彼らはブラジルでの地位を確立。ミルトン·ナシメントの『Ânima』に参加し、スペインにおいて初の海外ツアーを開催する。1987年にはマンハッタン・トランスファーのアルバム『Brazil with the US』に参加、アメリカでのパフォーマンスを見たポール・サイモンが自身の1989年のアルバム『The Rhythm of the Saints』に誘い、レコーディングが実現。その際フィリップ・グラスが訪れ、ウアクチにとって5枚目の作品となるポイント・レーベルからの作品『MAPA』をリリースするきっかけとなった。1992年にリリースされた『MAPA』(※注1)はポルトガル語で地図の意味でもあるが、1986年に亡くなっていた友人のMarco Antonio Pena Araújoの死を追悼したアルバムでもあった。彼は手紙の最後にいつも頭文字であるMAPAと記していた。
世界的な名声を得ることとなり、日本、そしてヨーロッパ各国でライブを行うなどウアクチは更に精力的に活動するようになる。マルコ・アントニオ・ギマラエスはミナスのコンテンポラリー・ダンス・グループ=Grupo Corpo(グルーポ・コルポ)に楽曲提供をするようになる。"A lenda"という曲は『MAPA』に収録され、バッハの楽曲をアレンジした『BACH』はソロとしてリリースされた。また『I Ching』『21』は1994年と1997年にウアクチのアルバムとしてリリースされた。
 
※注1 
ケペルさんより。
「1989年の初来日の時に彼らはもう『MAPA』を持って来ていたんです。五百枚を僕がオーダーしました。会場の即売で全て売り切ったよ。それで後から出し直しになったのが1992年だったかな。来日時のインタビューでフィリップ・グラスのことも聞きました。」
オフィシャルサイトでも1992年発売となってますが、こういう経緯があったんですね。当日はこんな貴重な話とか当時の資料もたくさん見ることができるかもしれません!
 
1993年にはグルーポ・コルポのバレエのための音楽をフィリップ・グラスが担当することとなる。『Águas da Amazônia - Sete ou oito peças para um balé』と題されたアルバムで、演奏はウアクチが担当。楽器の特性を熟知したマルコ・アントニオ・ギマラエスがアレンジを担当したが、グラスの楽曲を他人がアレンジするのはコレが初めてであった。この音楽は1999年にはポイント・レーベルからリリースされた。2004年にグラスはオリンピックを控えたアテネのプレ・イベントにおける音楽を依頼され、再びウアクチを招待。彼らはアテネで演奏した。
 
 
Philip Glass - Aguas da Amazonia
 
1994年から、ウアクチはポリスのドラマーであるスチュワート・コープランドの世界ツアー『Stewart Copeland and the Rhythmatists』に参加。彼のアフリカでの経験に基づいたアルバムとヴィデオ制作をサポートを担った。このときにはスティングやレイ・レマと活動するPercussion de Guinneaとも共演した。
 
1998年からはブラジルのポップスや古典的な楽曲も演奏するようになる。1998年には映画『Kenoma』においてブラジル・クラシック音楽の大家Heitor Villa-Lobosの楽曲を多く用いた。2000年にはミナスのコーラス・グループTabinhaとポピュラー・ソングの楽曲をレコーディング、2002年にはクラシックの楽曲ばかりを収録した『Clássicos』をリリース。2005年にはミルトンやダンスのためのテーマを取り上げた『Oiapok XUI』をリリース。このアルバムではジョビンの名曲"三月の水"を4つのヴァリエーションで演奏している。2007年には驚異的な演奏技術、高い完成度のステージングを収めたライブDVD『UAKTI』をリリース。2012年には最新作となる『UAKTI BEATLES』をリリース。その名のとおりビートルズの楽曲をカバーしたユニークな作品となった。

前述のミルトンやグラス以外にもNey Matogrosso ネイ・マトグロッソ、 Maria Bethânia マリア・ベターニア、Zélia Duncan ゼリア・ドゥンカンといったトップ歌手との共演も多い。また同郷ミナスのSkank スカンキ、Paula Santoro パウラ・サントーロ、そしてフルートのアルトゥール・アンドレスの息子Alexandre Andrés アレシャンドリ・アンドレスの2枚のアルバムなどでも演奏をしている。


Mar deserto (Kristoff Silva/Makely Ka) - Paula Santoro com Uakti
 

Discography
 
Uakti - Oficina Instrumental (1981)
Uakti 2 (1982)
Tudo e Todas as Coisas (1984)
Mapa (1992)
I Ching (1994)
21 (1996)
Trilobyte (1997)
Águas da Amazônia (1999) (music by Philip Glass)
Mulungu do Cerrado (2001) (with Tabinha)
Clássicos (2003)
Uakti (DVD, 2003)
Oiapok Xui (2005)
Blindness - Soundtrack (2008)
Beatles (2012)
 


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ラテン・ブラジル音楽を中心としたワールド・ミュージックのバイヤー。基本的には今まさに聴いている音楽の中から、本気で面白いもの、いいと思ったものを掲載。それと自分が関わっているイベントの告知などもちょっと載せていきます。
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※暫くはこれまで色々なところに書いてきたものを加筆修正してアーカイブ化する作業も並行して行いますので、あしからず。

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