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Unique,Universal,Universe Musics from Latin America,and more.

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ANTONIO LOUREIRO Japan Tour



世界的な注目を集めるブラジルの若き才能、アントニオ・ロウレイロのJapan Tourがいよいよ今週末からスタート!


アントニオ・ロウレイロはブラジル・サンパウロ生まれ、現在26才の若きミュージシャンです。ミナス・ジェライス連邦大学にて作曲と鍵盤打楽器を学び、2000年よりプロとしてのキャリアを開始。トニーニョ・オルタ、ヘナート・モタ&パトリシア・ロバートをはじめとした多数の作品やライブに参加、キャリアを重ねました。2010年に初のソロ・アルバム『アントニオ・ロウレイロ』を発表、この作品が高橋健太郎氏が選ぶミュージック・マガジン誌の年間ベスト・アルバムに選出。日本でも爆発的に彼の名前が広まりました。


Antonio Loureiro-Luz da Terra

先の読めない展開、高度な技術によるスリリングな演奏、繊細なアレンジとブラジル人らしい湧き出るような歌心の共存。同種の音楽としては、サンパウロの気鋭作曲家/ピアニスト=アンドレ・メマーリや、ミナスの創作打楽器集団=ウアクチ、そしてミルトン・ナシメントを筆頭としたミナスの音楽仲間たち「クルビ・ダ・エスキーナ(街角クラブ)」の面々が作り上げた傑作群を連想させます。一方で、とりわけ作/編曲面においてNYのコンテンポラリー・ジャズ・シーンともリンクする現代らしい質感をも備えているのが彼の最大の特徴でしょう。

○ blog アントニオ・ロウレイロと挾間美帆 次世代の新たな才能-ラテン音楽とジャズの共犯関係
ロウレイロを挟間美穂、リオネル・ルエケと比較分析したブログ。

また2ndアルバム『ソー』も、1stに続きドラムス、ピアノ、ベース、アタバキ、エフェクターやサンプラーといったアコースティック/エレクトリック楽器を自ら演奏、多重録音しつつ、ハファエル・マルチニ(ピアノ)、アレシャンドリ・アンドレス(フルート)、タチアナ・パーハ(ヴォーカル)、アンドレス・ベエウサエルト(ピアノ/コーラス)といったミナスやサンパウロ、隣国アルゼンチンのブエノス・アイレスなどから集結した才人が配されています。ミルトン・ナシメントらを中心とした約40年前の「クルビ・ダ・エスキーナ」ムーヴメントを思わず重ね合わせてしまう人も多いほど、彼らのような若く才能あふれるミュージシャン達の中からたくさんの良質な音楽が生まれており、その充実振りには目を瞠るものがあります。

○ diskunion企画「21世紀のクルビ・ダ・エスキーナ」
ミナス新世代音楽家を中心に、サンパウロや隣国アルゼンチンにまでに広がる若手音楽家達のCDを一挙掲載。コラム、インタビューもあり。

初来日となる今回は、会場によって日本やアルゼンチンのトップ・ミュージシャン達とコラボレーションを行う模様。演奏面のみならずバンド・リーダーとして、また歌手としてどのように音楽を作り上げていくのでしょうか。ブラジル音楽ファンのみならずジャズやポップス・ファンなど幅広い音楽ファンから注目を集めるアントニオ・ロウレイロの貴重な来日公演をお見逃しなく!

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8/24(sat) 助川太郎さんインストアライブ@お茶の水JazzTOKYO



■助川太郎さん『This is Guitarist』発売記念■


8/24(土) インストア・ライブ+サイン会 @diskunion JazzTOKYO!

18:00 START 入場無料!!

ブラジル音楽をベースにジャズやクラシック、即興に至るまで独創性あふれる音楽性を披露する天才ギタリスト助川太郎さんの新作はなんと完全アコースティック録音!!

アコースティックだからこそ浮き上がるギター音楽の魅力をたっぷりと堪能できる最新作の中から、厳選した楽曲を披露する貴重なライブです!! もちろん『This is Guitarist』お買い上げのお客様にはライブ終了後サイン会も御座います。

更に更に! 多彩極まるブラジル・ギター音楽の面白さ、奥深さについて助川さん本人が語るという普段なかなか聞けないようなトーク・コーナーを予定。

本当に貴重な機会ですので、是非足をお運びください。 お待ちしております。
 
(問い合わせはこちらまで)
ディスクユニオン・ジャズトーキョー diskunion JazzTOKYO
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台2-1-45 
(TEL) 03-3294-2648 (E-MAIL) do12@diskunion.co.jp
http://blog-jazztokyo.diskunion.net/


こちらが待望の新作ソロ・アルバムです!

●助川太郎 / ディス・イズ・ギタリスト / COO / CD / 2,940円
助川太郎 待望の2013年ソロ・アルバム!

このアルバムのタイトルは「This is guitarist」。なんて潔いネーミングだろう!ここにギタリストあり。選曲、アレンジ、構成、そのどれもが助川太郎というギタリストのギターへの愛、そして音楽への真摯な接し方を強く感じさせる。太郎さんが強く心惹かれているブラジルの音楽を中心に、ジャズあり、バッハあり、林光あり、「上を向いて歩こう」あり。クラシックとかポピュラーの枠にとらわれないで、ギターの魅力をたくさんの人に届けたい。そんな思いがいっぱい詰まったアルバムだ。

選ばれているブラジルの音楽は、どれも心地よい。私にとっては知らない曲がほとんどだが、なんだか不思議に懐かしいような切ないような気持ちになる。音色やコードの選び方、旋律の歌わせ方など、太郎さんの演奏は曲の魅力を引き出し、耳から胸へ一直線、こっちの心にグンと届くのだ。そしてそれらの間に挟み込まれるようなかたちで、ジャズ、バッハ、林光の音楽が異彩を放つ。
(ライナーノーツより抜粋)
 
1. PALHAÇO(Egberto Gismonti)/パリャーソ(E.ジスモンチ)
2. The Reluctant Bridge(Ralph Towner)/リラクタントブリッジ (R.タウナー)
3. Tempo Feliz~ Samba de Astronauta(Baden Powell)~Samba do Avião (Antonio Carlos Jobim)/テンポフェリーズ~宇宙飛行士のサンバ(B.パウエル)~ジェット機のサ ンバ(A.C. ジョビン)
4. Blue Monk (Thelonious Monk)/ブルーモンク(T.モンク)
5. Prelide No.3(Heitor Villa-Lobos)/プレリュード No.3 (ヴィラ・ロボス)
6. Travessia (Milton Nascimento )/トラベシア (M.ナシメント)
7. Canto de Xango(Baden Powell)/シャンゴーの歌(B.パウエル)
8. Etude for 2 guitars(Hikaru Hayashi)/2つのギターのためのエチュード (林光)
9. Bebe (Hermeto Pascoal)/べべー(H.パスコアール)
10. Ue wo Muite Aruko (Hachidai Nakamura)/上を向いてあるこう (中村八大)
11. Cello Suite No. 1 BWV 1007: Prelude (J.S.Bach)/無伴奏チェロ組曲1番プレリュード(バッハ)
12. Stella by starlight(Victor Young)/星影のステラ(ヴィクター・ヤング)
13. Agua e Vinho(Egberto Gismonti) ~ Asa Branca(Humberto Teixeira/水とワイン(E.ジスモンチ)~アーサブランカ (H.テイシェイラ)

8/30(fri) ウアクチを極める @国立Notrunks

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『ウアクチを極める』


[ゲスト講師] 渡辺亮
[講師] ケペル木村
[聞き手] 柳樂光隆, 江利川侑介

8/30(FRI) 18:30 OPEN 19:00 START
@ 国立NoTrunks
186-0004 東京都国立市中1-10-5・5F MAP
TEL&FAX: 042-576-6268
 
日本におけるブラジル音楽評論家の第一人者ケペル木村と、若手音楽評論家の柳樂光隆、中南米音楽バイヤーの江利川侑介の三者による「極める」シリーズ! 今回はブラジルの創作楽器集団「ウアクチ」を取り上げます。ゲストには日本を代表するパーカッショニストであり、個性あふれるブラジルのパーカッションに造詣の深い渡辺亮さんを迎え、ウアクチ音楽を多角的に捉えます。もちろん亮さんによるパーカッション実演もあり。お楽しみに!チャージ500円+オーダーをお願いします。

 









ウアクチ Uakti オフィシャル・サイト

ブラジルのミナス・ジェライス州を拠点とする創作楽器によるインストゥルメンタル・グループ。

メンバーは
Marco Antônio Guimarães マルコ・アントニオ・ギマラエス
Artur Andrés Ribeiro アルトゥール・アンドレス・ヒベイロ
Paulo Sérgio Santos パウロ・セルジオ・サントス
Décio Ramos デシオ・ハモス

この不思議な名前は、トゥカーノ族(ブラジル北東部からコロンビアにかけての地域を生活拠点とするインディオの部族)の神話に現れる伝説的な存在「ウアクチ」に由来している。

ウアクチは不思議な生き物で、体中に穴が開いており、風がその穴を通るたびになんとも魅惑的な音を発していた。その"音楽"が部族の女性をあまりに魅了したため、嫉妬した男たちはウアクチを捕らえ、殺してしまった。ウアクチの遺体が埋められた場所からは椰子の木が生え、人々はウアクチが奏でていたような魅惑的な音楽を奏でるため、その椰子の木を使ってフルートを作るようになった。これがウアクチの伝説である。

グループのリーダーであり創始者はマルコ・アントニオ・ギマラエスである。彼はバイーアのUniversidade Federal da Bahia(バイーア連邦大学)でWalter Smetak(ヴァルテル・スメタキ)に出会い、彼のクラスを受講する。ヴァルテルはエルメート・パスコアールやエギベルト・ジスモンチと同じく、高い知性でブラジル音楽を発展させた現代音楽の鬼才で、スイス人でありながらブラジルに移住し、トン・ゼー、カエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジル、トルクアート・ネトといったトロピカリア・ムーヴメントの中心人物たちにも影響を与えた知る人ぞ知る存在である。


Documentário sobre Anton Walter Smetak.
アントン・ヴァルテル・スメタキについてのドキュメンタリー。なぜかpart 2しかありません。

そんなヴァルテルから、マルコ・アントニオ・ギマラエスは創作楽器の魅力と情熱を受け継いだという。数年の訓練の後、マルコはサンパウロとミナスの交響楽団の一員としてチェロを演奏すると同時に、自宅にてポリ塩化ビニルや木材、鉄を加工した楽器の製作を始める。

1978年には、それらの楽器を演奏するためにベロ・オリゾンチ交響楽団の同僚達に声をかけ、ベロ・オリゾンチの芸術教育基金へと赴いた。その際に集まったメンバー達がパーカッショニストのPaulo Sérgio Santos、Décio de Souza Ramos、フルートのArtur Andrés Ribeiro、そしてチェリストのCláudio Luz do Valである。彼らはマルコの制作した楽器の演奏方法を完璧に習得し、ウアクチはグループとしてスタートした。
彼らの最初のレコーディングはタヴィーニョ・モウラが音楽を担当した『Cabaret Mineiro(ミナスのキャバレー)』というギマラエス・ホーザの小説をベースにした映画のサウンドトラックである。タヴィーニョを通じて、ウアクチはクルビ・ダ・エスキーナの面々に出会うこととなる。


Cabaret Mineiro - Filme completo
 
1980年にはミルトン・ナシメントのアルバム『Sentinela』に参加。パンプーリャ劇場にて初ステージを披露、世間的な知名度を獲得した結果、翌年初のソロ・アルバム『Uakti - Oficina Instrumental』をリリースするに至る。
 
Cláudio Luzが脱退した後、1984年に3rdアルバム『Tudo e Todas as Coisas』をリリースするまでギタリストのBento Menezesが加わる。このアルバムから伝統的な楽器も時折使用するようになる。
 
1981年から1987年の期間で彼らはブラジルでの地位を確立。ミルトン·ナシメントの『Ânima』に参加し、スペインにおいて初の海外ツアーを開催する。1987年にはマンハッタン・トランスファーのアルバム『Brazil with the US』に参加、アメリカでのパフォーマンスを見たポール・サイモンが自身の1989年のアルバム『The Rhythm of the Saints』に誘い、レコーディングが実現。その際フィリップ・グラスが訪れ、ウアクチにとって5枚目の作品となるポイント・レーベルからの作品『MAPA』をリリースするきっかけとなった。1992年にリリースされた『MAPA』(※注1)はポルトガル語で地図の意味でもあるが、1986年に亡くなっていた友人のMarco Antonio Pena Araújoの死を追悼したアルバムでもあった。彼は手紙の最後にいつも頭文字であるMAPAと記していた。
世界的な名声を得ることとなり、日本、そしてヨーロッパ各国でライブを行うなどウアクチは更に精力的に活動するようになる。マルコ・アントニオ・ギマラエスはミナスのコンテンポラリー・ダンス・グループ=Grupo Corpo(グルーポ・コルポ)に楽曲提供をするようになる。"A lenda"という曲は『MAPA』に収録され、バッハの楽曲をアレンジした『BACH』はソロとしてリリースされた。また『I Ching』『21』は1994年と1997年にウアクチのアルバムとしてリリースされた。
 
※注1 
ケペルさんより。
「1989年の初来日の時に彼らはもう『MAPA』を持って来ていたんです。五百枚を僕がオーダーしました。会場の即売で全て売り切ったよ。それで後から出し直しになったのが1992年だったかな。来日時のインタビューでフィリップ・グラスのことも聞きました。」
オフィシャルサイトでも1992年発売となってますが、こういう経緯があったんですね。当日はこんな貴重な話とか当時の資料もたくさん見ることができるかもしれません!
 
1993年にはグルーポ・コルポのバレエのための音楽をフィリップ・グラスが担当することとなる。『Águas da Amazônia - Sete ou oito peças para um balé』と題されたアルバムで、演奏はウアクチが担当。楽器の特性を熟知したマルコ・アントニオ・ギマラエスがアレンジを担当したが、グラスの楽曲を他人がアレンジするのはコレが初めてであった。この音楽は1999年にはポイント・レーベルからリリースされた。2004年にグラスはオリンピックを控えたアテネのプレ・イベントにおける音楽を依頼され、再びウアクチを招待。彼らはアテネで演奏した。
 
 
Philip Glass - Aguas da Amazonia
 
1994年から、ウアクチはポリスのドラマーであるスチュワート・コープランドの世界ツアー『Stewart Copeland and the Rhythmatists』に参加。彼のアフリカでの経験に基づいたアルバムとヴィデオ制作をサポートを担った。このときにはスティングやレイ・レマと活動するPercussion de Guinneaとも共演した。
 
1998年からはブラジルのポップスや古典的な楽曲も演奏するようになる。1998年には映画『Kenoma』においてブラジル・クラシック音楽の大家Heitor Villa-Lobosの楽曲を多く用いた。2000年にはミナスのコーラス・グループTabinhaとポピュラー・ソングの楽曲をレコーディング、2002年にはクラシックの楽曲ばかりを収録した『Clássicos』をリリース。2005年にはミルトンやダンスのためのテーマを取り上げた『Oiapok XUI』をリリース。このアルバムではジョビンの名曲"三月の水"を4つのヴァリエーションで演奏している。2007年には驚異的な演奏技術、高い完成度のステージングを収めたライブDVD『UAKTI』をリリース。2012年には最新作となる『UAKTI BEATLES』をリリース。その名のとおりビートルズの楽曲をカバーしたユニークな作品となった。

前述のミルトンやグラス以外にもNey Matogrosso ネイ・マトグロッソ、 Maria Bethânia マリア・ベターニア、Zélia Duncan ゼリア・ドゥンカンといったトップ歌手との共演も多い。また同郷ミナスのSkank スカンキ、Paula Santoro パウラ・サントーロ、そしてフルートのアルトゥール・アンドレスの息子Alexandre Andrés アレシャンドリ・アンドレスの2枚のアルバムなどでも演奏をしている。


Mar deserto (Kristoff Silva/Makely Ka) - Paula Santoro com Uakti
 

Discography
 
Uakti - Oficina Instrumental (1981)
Uakti 2 (1982)
Tudo e Todas as Coisas (1984)
Mapa (1992)
I Ching (1994)
21 (1996)
Trilobyte (1997)
Águas da Amazônia (1999) (music by Philip Glass)
Mulungu do Cerrado (2001) (with Tabinha)
Clássicos (2003)
Uakti (DVD, 2003)
Oiapok Xui (2005)
Blindness - Soundtrack (2008)
Beatles (2012)
 


助川太郎 / This is Guitarist

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助川太郎さんの新作『This is Guitarist』が素晴らしすぎます。

美しい音色で堪能できるジスモンチ『パリャーソ』に始まり、バーデン・パウエル、アントニオ・カルロス・ジョビン、エルメート・パスコアール、ミルトン・ナシメントといったブラジル音楽の名曲はもちろん、セロニアス・モンク、ラルフ・タウナー、バッハ、そして『上を向いて歩こう』の斬新な解釈なども収録。原曲の良さを尊重しつつ、選曲/アレンジ/奏法、いずれにおいても助川さんらしい遊び心に溢れていて聴くほどに引き込まれてしまいます。

とはいえ小難しいことを一切感じさせないのが助川マジックでしょう。心底音楽を楽しんでいるような助川さんの音楽は、聴いている人の心もリラックスさせてくれます。(人柄そのまま!)
高度な技術を持ちつつも、ドリヴァル・カイミやカエターノ・ヴェローゾのギターのように、おおらかなスイングを感じさせてくれる助川さんは、世界的にも貴重なギタリストでしょう。

気が早いですが、今年のベスト・アルバムの一つはこれに決まりました。

KRISTOFF SILVA / DERIVA, EM PE NO PORTO

 
縁あってミナスの素晴らしい音楽家のCDを入手することができました。
アーティスト本人からの納品というイレギュラーな経路なので、次回入荷はしばらくありません。
興味ある方は是非diskunion店頭もしくはWEBでお買い求めください。




クリストフ・シルヴァは、ミナス・ジェライス州の州都ベロ・オリゾンチ生まれのギタリスト、歌手、作編曲家。音楽理論や演劇、ダンスといった分野では教授も務める才人である。既に20年近い音楽キャリアを持ち、彼の世代における最も重要な音楽家として、既にブラジルでは認識されている。カエターノ・ヴェローゾ、エルザ・ソアーレス、ゼ・ミゲル・ヴィズニッキといった大御所をはじめ、モニカ・サルマーゾ、アルダ・ヘゼンヂ、ナ・オゼッチ、ヴィルジニア・ホーザ、ミナスジェライス交響楽団、そしてウアクチとも交流を持つ才人だ。


■ KRISTOFF SILVA / DERIVA  (写真左) 
KRISTOFF SILVA / CD / 2,000円(税込)
試聴はこちらで
2013年リリースの『Deriva』は前作『Em Pe No Porto』の作風を更に進化させた作品。とりわけ電子音と生楽器によるアンサンブルにおいて実に興味深い変化をみせている。
セッションさながらにエネルギー迸る二者が衝突するような#1、かと思えば間逆のベクトルで展開されるコミカルな換骨奪胎的アンサンブルの#2。アントニオ・ロウレイロの『So』にも参加していた本作の共同プロデューサー/電子音楽家= ペドロ・ドゥラエス(Pedro Durães)の参加がキーとなっているのであろう。唯一のカバーとなったレジアォン・ウルバーナの"Acrilic On Canvas"含め、繊細だった編曲面に荒々しさ激しさが加わり、前衛性がより顕著となったことでフィジカルに訴えかけてくるようなサウンドを作り出している。
とはいえ「歌」が中心であるのは前作と変わりない。ルイス・タチチ、マケリー・カーに加え、マウロ・アギアール、ベルナルド・マラニャオンという気鋭の作詞家を加えた歌の世界観は、アヴァンギャルドになったサウンドと不思議に相性がよく、気がつくとクリストフのヴォーカルに意識がフォーカスしていく。弦楽四重奏+ヒカルド・ヘルズ(violin)をソリストに迎えオペラのように展開していく#7、耽美的なサウンドを聴かせる#8・・・。引き続きバックを務めるのはアントニオ・ロウレイロやハファエル・マルチニ、アレシャンドリ・アンドレスといったミナスの気鋭の若者達だ。ラストを飾る"Devires"では海の音が微細に漂う中、緻密なオケと数世紀を総括するような格調高い詩世界によって締めくくられる。


■ KRISTOFF SILVA / EM PE NO PORTO (写真右)
JARDIM PRODUCOES / CD / 2,000円(税込)
試聴はこちらで
2009年にリリースされた作品。リリース当時少量が日本でも取り扱われたが、ミナスでのローカルな流通であったため、すぐに入手困難に。希少価値が高まり、日本のみならず各国の某大手通販サイトでも品薄状態が続き非常に入手が困難だった一枚である。
パウラ・サントーロも2012年作でカバーした冒頭の#1に、クリストフの音楽的魅力が集約されている。深海を潜るような奥行きのある電子音と、ハファエル・マルチニ(vib)、アントニオ・ロウレイロ(marimba/drums)らの存在感のある生演奏とを見事に融合させる緻密な作曲能力の妙。自らプログラムを組むほどに電子音楽をはじめとする現代音楽へも造詣が深いクリストフ。ミナス新世代と親和性を持ちつつ、一際個性的なアイデンティティーを獲得している理由がここにある。
もう一方の魅力は歌による魅惑的な世界観だ。自らも作詞を手掛ける一方、優れた作詞家との親密な共作関係も築いている。サンパウロ・アヴァンギャルド・シーンを代表するグループ = フーモ(RUMO)出身のルイス・タチチは4曲で詞を提供。
#2ではタチチと同じフーモ出身のナ・オゼッチを、#10ではバイーア出身ながら現在最高の女性ヴォーカリストの一人として数多くの作品に参加するジュサラ・シルヴェイラを、そして#7ではルイス・タチチ本人がゲスト・ヴォーカルとして参加している。アントニオ・ロウレイロとの共作でも知られるマケリー・カーも5曲に詞を提供している。そのうちの一曲#8では、同じくロウレイロ作品にも参加するヴォーカル・アーティストのマルセロ・プレットがゲスト参加している。
楽曲によっては木管や弦楽アンサンブルも参加。繊細な電子音と生楽器で構成されるオーケストラをバックに、どこまでも深く歌の世界観を感じ入る。バロックの時代から最先端の電子音楽までを俯瞰しつつ作り上げられた恐るべき作品だ。

YAMANDU COSTA, VALTER SILVA / YAMANDU VALTER






● YAMANDU COSTA, VALTER SILVA / YAMANDU VALTER
UNIVERSAL / BRA / CD / 2,300円(税込)

現代最高の7弦ギタリスト=ヤマンドゥ・コスタと、同じく7弦ながらヤマンドゥのナイロン弦に対してスチール弦を得意とするヴァウテル・シルヴァのデュオ。ジャコー・ド・バンドリン、 ピシンギーニャ、 ヂレルマンド・ヘイス、 ジョアン・ペルナンブーコ、 オルランド・シルヴァ、そしてドリヴァル・カイーミといった古典的レパートリーをじっくりと楽しめる一枚です。
パウロ・モウラ(クラリネット)、ドミンギーニョス(アコーディオン)、アミルトン・ヂ・オランダ(バンドリン)、ホジェリオ・カエターノ(7弦ギター)らとデュオでの作品も多くなってきた近年のヤマンドゥ。超絶テクニックを持ちながらも、ラテン的な情感(センチメント)をじっくりと表現するガロート直系のスタイルにも磨きがかかりつつあります。なお、ヤマンドゥの最新作は彼の出身地でもある南部の伝承曲を演奏したアルバムだそうです。こちらも楽しみ。





ALEXANDRE ANDRES / MACAXEIRA FIELDS



Alexandre Andrés / Macaxeira Fields について
マガジンハウスさんのウェブマガジン=webdacapoに拙文を寄稿しました。こちらからどうぞ 
5/29に発売された国内盤では、ベルナルド・マラニャオンの歌詞日本語対訳、アンドレ・メマーリのライナー日本語訳、そして日本盤オリジナルジャケットと輸入盤にはない魅力もありです。

 
商品情報はNRTのオフィシャルHPから


Alexandre Andrés / Ala Pétalo

About

HN:
Eri
HP:
性別:
男性
自己紹介:
ラテン・ブラジル音楽を中心としたワールド・ミュージックのバイヤー。基本的には今まさに聴いている音楽の中から、本気で面白いもの、いいと思ったものを掲載。それと自分が関わっているイベントの告知などもちょっと載せていきます。
【More Profile】
※暫くはこれまで色々なところに書いてきたものを加筆修正してアーカイブ化する作業も並行して行いますので、あしからず。

e-mail: yusukerikawa*gmail.com
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